2005年 07月 18日
佐藤 勇 喫煙に関する米国の報告では、喫煙者の平均寿命は非喫煙者にくらべて、 男性で13.2年、女性で14.5年短いと言われています。喫煙は全身臓器に 悪影響を及ぼしますが、成人にくらべ未成年者により強くあらわれ、 喫煙開始年齢が低いほど、将来癌や心臓病で死亡する危険率が高くなります。 問題なのは、喫煙開始年齢が低いほどニコチン依存が強く、禁煙が困難に なることです。我が国では小学校低学年から喫煙経験者がみられ、 中学1年生ですでに20%が喫煙経験者で、高校3年では55.7%になり、 毎日喫煙する高校生が25.9%に達していると言われています。けっして 一部の非行少年でなく、「普通の」子どもたちが吸っている状況です。 子どもたちは幼い頃から、身近なおとなが喫煙する姿を見ながら育つため、 喫煙を「自然な習慣」と受け止めやすいと言えます。こどもが受動喫煙に さらされると、乳幼児突然死症候群、気管支喘息、さらに反復性中耳炎の 危険因子となります。こどもの目の前では吸わないようにすることは、 受動喫煙をふせぎ、喫煙を自然な習慣と思わせないためにも必要でしょう。 こどもに対しては、将来の発癌の危険性よりも、喫煙行動がけっして 格好の良いことではないこと教えてゆくことが大切でしょう。ただし、 「喫煙は20歳を過ぎてから」は逆効果です。早く大人の気分を味わって みたいこどもには、魅力的に響くからです。 今年日本学校保健学会では「<タバコのない学校>推進プロジェクト」を 立ち上げました。学校や公共施設での禁煙を徹底すれば、未成年者の 喫煙率は低下すると言われています。子どもたちを取り巻く大人達の 取り組みが、重要といえるでしょう。筆者も、かっては喫煙者でした。 こどもに諭されて禁煙した情けない医者です。こどもへの借りを何とか 返さなくてはなりません。小学生からの禁煙指導、決しては早すぎるとは 言えないでしょう。
by howsoonjp
| 2005-07-18 14:49
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